一人暮らしが待ち遠しい

やっと念願が叶ったのに、その途端に一人暮らしから転がり落ちる出来事が降りかかる。ずっと偽りの時間が流れていたなんて、にわかには信じがたかったけどこれは現実。

その日が待ち遠しくてたまらなかった。私達は高校を卒業してからここを出て行かなければいけない決まりがある。両親が育児を放棄して以来ずっと施設で育った。5歳で初めて入所し、小さいながらにその瞬間の事を今でもはっきりと覚えている。やっと一人暮らしできるのが明日に迫り、自由にならない生活と早くお別れがしたくてたまらなかった。「まいちゃん、荷物はこれで全部だよね?」焦らなくてもいい様にとバッグを車に積んでおいてくれた。

一人暮らしがどうでもよくなる

目が覚めるとカーテンの隙間から光が漏れている。いよいよこの時が来たな。ご飯を食べ終えると、小杉先生は待っていた。「何かあったら、必ず私の所に連絡するんだよ。独りじゃない。アナタの家族はこんなにいっぱいいるんだよ」瞳が光っている。言葉にすると涙が溢れ出しそうだったから、おもいっきり抱き合う。「ありがとう」と小さい声だけどやっと言えた。一人暮らしがちょっとだけどうでも良くなった。友達、先生、小さい子達、楽しい生活が送れた事に感謝するよ。

一人暮らしの後への想い

一人暮らし インテリア 実例を参考にテーマを決めて一人暮らしの部屋作りとインテリアコーディネートを楽しんで下さい。

電車に乗ると、この見慣れた景色がもっと胸をグッとさせた。次はいつ戻って来るんだろう。大きい人間になって、いつか施設に恩返しができればいいな。そんな事を考えていると後ろの席で「スリだー」と男の人が騒いでいる。振り返ると、黒ずくめのおじさんと目があった。慌てて逃げたが駅員にみつかって取り押さえられ、辺りがざわめき始める。こんな場所で、どうせ捕まるんだから最初からやらなきゃいいのに。興味が無い私は、一人暮らしの事を考えていた。

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